気づけば手に取るスマートフォン 無意識の利用を減らす小さな習慣
無意識にスマートフォンを触ってしまう、そんな経験はありませんか
何か見たいものがあるわけではないのに、気づけばスマートフォンを手に取っている。そして、いつの間にか時間が過ぎていた、という経験は多くの方がお持ちかもしれません。特に目的もなく画面を眺めているだけの時間が、実は脳に思わぬ負担をかけていることがあります。
このような無意識のデジタルデバイス利用は、脳が常に情報を受け取ろうとする状態を作り出し、脳疲労の原因となり得ます。脳が休まる時間が減ると、集中力が散漫になり、新しい情報を記憶に定着させる力も弱まってしまう可能性があります。健康診断で脳の健康について指摘を受け、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、スマートフォンとの健康的な距離の取り方として、日常生活に無理なく取り入れられる「小さな習慣」をご紹介します。これらの習慣を実践することで、脳の疲れを和らげ、記憶の定着を助けることにつながります。
脳を休ませ、記憶を助ける「小さな習慣」
デジタルデバイスとの付き合い方を見直すことは、決して難しいことではありません。日々の暮らしに少しずつ取り入れられる、具体的な方法を見ていきましょう。
1. スマートフォンの「定位置」を決める習慣
無意識にスマートフォンを手に取ってしまうのを防ぐため、まずは決まった場所に置く習慣をつけましょう。例えば、リビングの特定の棚の上や、玄関の鍵置き場など、目につきにくい場所に置くのがおすすめです。
こうすることで、何か用事がない限り、自然とスマートフォンに手が伸びにくくなります。視界からデジタルデバイスがなくなることで、脳は常に新しい情報が入ってくるという緊張状態から解放され、よりリラックスしやすくなります。この小さな工夫が、脳の余計な活動を抑え、穏やかな時間を作り出すきっかけとなります。
2. 必要のない通知を整理する習慣
スマートフォンからは、さまざまなアプリの通知が常に届きます。これらの通知は、その都度私たちの注意を引き、集中力を途切れさせてしまう原因になります。通知が来るたびに脳は処理を行うため、小さな疲労が蓄積されていくことになります。
必要のない通知はオフにする、またはバイブレーションのみにする設定を試してみてください。特に、頻繁に利用しないアプリや、急ぎでない情報が届くアプリの通知は、思い切ってオフにしても差し支えありません。通知の数を減らすことで、脳が余計な刺激を受けなくなり、目の前の活動に集中しやすくなります。これが脳の疲労軽減につながり、記憶力の維持にも良い影響をもたらします。
3. スマートフォンを使う時間を「区切る」習慣
「気づけば時間が経っていた」という状況を防ぐために、スマートフォンを使う時間を意識的に区切る習慣を取り入れましょう。例えば、「朝食後30分だけニュースを見る」「休憩時間に15分だけ連絡を確認する」といった具合です。
タイマーを使うのも一つの方法です。決めた時間が来たら、一度スマートフォンから離れるように意識します。このように時間を区切って使うことで、漫然とした利用を防ぎ、他の活動に時間を充てられるようになります。脳にとっても、だらだらと情報を受け続けるよりも、集中と休息のメリハリがある方が、効率的に働き、記憶を整理しやすくなります。
4. デジタルから離れて「心を動かす」習慣
デジタルデトックスは、単にデジタルデバイスを使わないことだけではありません。デジタルから離れた時間を、他の活動で豊かにすることも大切です。例えば、散歩に出かける、庭の手入れをする、読書をする、昔の趣味を再開する、地域の交流会に参加するといったことです。
このような活動は、五感を刺激し、脳の異なる部位を活性化させます。特に、自然の中で過ごしたり、人と直接交流したりすることは、デジタルデバイスでは得られない豊かな経験となり、脳に良い刺激を与えます。心身のリフレッシュは、脳疲労の軽減はもちろん、新しい記憶の定着にも良い影響をもたらします。
5. 寝る前は「デジタル断ち」の習慣
良質な睡眠は、脳の健康にとって非常に重要です。脳は睡眠中に、日中の情報を整理し、記憶を定着させる働きをしています。しかし、寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ていると、画面から発せられる光が脳を覚醒させ、スムーズな入眠を妨げてしまうことがあります。
就寝の1時間前からは、デジタルデバイスの使用を控える習慣をつけましょう。代わりに、本を読んだり、穏やかな音楽を聴いたり、温かい飲み物を飲んだりするなど、リラックスできる活動に切り替えることをおすすめします。質の良い睡眠を確保することで、脳は十分に休息し、記憶力や集中力の維持に役立ちます。
小さな習慣が未来の脳の健康へ
ご紹介した「小さな習慣」は、どれもすぐに実践できるものばかりです。完璧を目指す必要はありません。まずは一つ、自分にとって取り入れやすいものから始めてみてください。
これらの習慣を続けることで、無意識にスマートフォンを触る時間が減り、脳は余計な情報から解放されていくことでしょう。脳疲労が軽減されれば、集中力が高まり、新しい記憶も定着しやすくなります。デジタルデバイスと上手に付き合い、ご自身のペースで脳の健康を守り、より充実した日々を送るための一歩を踏み出してみませんか。